「親と子」で体感する創造力 神奈川新聞紹介記事より抜粋 (鈴木智惠)
主宰している “すずキッズ・アートカーニバル” では、
「親と子」と「アーティスト」が一緒にアートを通じて空間や時間をつくり上げることをコンセプトに、
親子がいちばん接近する5歳前後までのプログラムを企画しています。
なぜ子育てにアートか。ひと言でいうと「アートには正解がない」ということでしょうか。
子どもだけが何かをしなければいけないのではなく、
親がやっていることを見ているだけでも、一緒につくっても、
それぞれの親子の姿がそこにあればいいと思うのです。
子どもは親の新しい一面を発見するかもしれませんし、親は子の新しい輝きを見るかもしれません。
体感しながら子どもも大人も、そのときにひらめいたことやイメージを、
ことばやかたち、ときには身体全体で表現し、
ほかの人の思っていることを見て聞いて、また新しい表現が生まれる。
コミュニケ—ションを通して、みんなが同じ答えでなくてもいいということを、
子どもに記憶させてあげることが大切だと思います。
五感の記憶は想像力を生み、それは必ず自信につながります。
そしてこの時期に、きちんと親子が向き合い、
「生まれてきただけですばらしいこと」と感じ合うことです。
いちばん身近なひとが「自分を認めてくれる」ところから、
子どもの心が健やかに育つのだと思います。
6年間の広告制作プロダクションの勤務を経て、青年海外協力隊員として中国の桂林市に渡り、
現地の学校でグラフィックデザインを教えたことが、
最初に「子どもと教育」を考えるきっかけになりました。
その後、JICA(国際協力機構)の展示企画とデザインを担当しました。
そのなかの企画展「地球の子どもたち ー 学校に行きたい!」の取材で、
経済的理由で学校に行けない海外の子どもたちや、日本の不登校の子どもたちに出会い、
それぞれとても深い心の闇を抱えていると感じたことが、
いまの仕事を始めるきっかけとなりました。
いじめや差別、偏見は数の論理から生まれる場合が多いと認識していますが、
幼児期に「同じ答えでなくてもいい」という体験をすれば、
他者を認め、受け入れることにつながるのではないかと思っています。
すずキッズ・アートカーニバル代表
鈴木智惠/suzuki tomoe
写真▶2012.10.21あざみ野ハロウィン会場にて
神奈川県横浜市出身。共立女子大学卒業後、広告制作プロダクションで、グラフィックデザイナー、アートディレクター、プランナーとして勤務し、中国・桂林でグラフィックデザインを教えたのを機に、日系広告代理店の北京支社、上海支社に駐在。帰国後、2008年から2011年まで “JICA 地球ひろば” の展示企画、デザインを担当。2011年4月、すずキッズ・アートカーニバルをスタートさせる。